THE WEVE ウェイヴ感想【ネタバレ有り】 洋画 2014年03月27日 とあるドイツの高校で独裁制をテーマにした授業が行われた。担当教師のベンガーは「独裁制」に興味がない生徒たちに困り、ある提案をする。それはクラスを独裁国家に見立て授業を行うこと。”現代に独裁制は成立するのか?”この心理実験のような授業に、初めは嫌悪感を示す生徒達も次第に今まで経験したことのない感覚に魅せられてゆく。走り出した集団はコントロールを失って……ーー とても観ごたえのある作品でした。 様々な人の想いが交差して制御不能になっていく集団の描写は考えさせられるものがあります。 これは、得体の知れないの違和感が加速して津波のように一気に押し寄せる映画。 WAVEなるほど!って納得です。 この映画は独裁と人の心理がテーマなんですね。 「独裁」の心理を紐解くと、誰もが感じたことのある感覚が見えてくるような気がしました。 その感覚というのは、グループに所属する安心感。 私たちは、学校・部活・会社・ママ友グループ・地域の集まり・家族など、大きさは様々ですが協力しあって生きていく為に、様々なコミュニティに所属しています。そして、誰もがそこで穏やかに過ごせることに安心感を覚えているのではないでしょうか。 この安心を守るために、時には共通の敵を攻撃する。WAVEの過剰な仲間意識(団結力)は自分達を守りたいという部分から来ているのじゃないかなと感じました。 ただその安心を守った時の快感を取り違えて、興奮しきったクラスは最終的に暴走してしまう。 そういう意味で、独裁制というのは、誰か一人が権力を奮って作り上げるものでは無いのだと私は感じました。「まるで感染するかのように、”集団に属さない恐怖”が人々に蔓延して独裁制は出来る」ただそれだけだと思っていましたが、この映画を観ると恐怖が蔓延する前にもう一段階。寂しさや苦悩、思いやりや正義。 特に印象的だったのは集団をまとめる権力者の影響力。作中では教師ベンガ―が権力者のポジションにあたるのですが……どこにでも居る普通の教師、なんですよね。ですが、統率を図る為の行為(机の整列やリーダーの選出など)を取り入れただけで、生徒はベンガーを最高権力者として見るようになる。 生徒がベンガーを最高権力者として見るようになった要は、「統率者を生徒自らが選んでいること」なんじゃないかと思います。序盤のシーンで、誰をリーダーにするかベンガーが生徒に問いかける。生徒はクラスの中から選んでも良かったのに、教師であるベンガーを選んだ。この行為は、教師と生徒という関係から導き出されるごく自然なものだとも思います。ただそれによって、「自分たちが選んだ人」という印象はずっと脳内に残るわけで……崇拝するような生徒が現れたのも、主体性を持って選択したことの結果の一つだったのではないかと感じました。 独裁制クラスで際立っていたのは、女子生徒のカロとモナ。 おかしいと思った事をおかしいと言う勇気があるのは凄いことだと思います。 なぜ反発してしまうのか、得体の知れない恐怖に苦悩する姿がとても印象的です。 作中ではウェイブが正しいように描かれているのでカロやモナは自分勝手で集団行動が出来ない子のように見えてしまいます。これもこの映画の特徴なのかなぁと。 最後に。 この映画は実際にドイツで起きた事件をベースに制作しているとあって、確かに有り得ない話じゃないなと思いました。だって、安心を守りたいって誰にでもある感情ですもん。 戒めであり、「独裁制」とは何かを考えさせられる素敵な映画でした。ご馳走様。 [0回]PR